『ブロウチェク氏の月への旅』――ある満月の夜、プラハの居酒屋ヴィカールカ亭。家主のブロウチェクさんは、ビールをたらふく飲んでは夢のようなことを話して、みんなを困らせている。やがて酔っ払ったブロウチェクさんは、ビール腹を突き出しながら千鳥足で歩き出す。するとどうしたことか、どんどん体が引き上げられ、月に向かって飛んでいってしまった。
――月の世界の人々は、なぜかみんな下界の顔見知りたちにそっくりだが、お金のことや食べ物のことにしか興味がないブロウチェクさんに月世界の唯美主義者たちはあきれ顔。「芸術の殿堂」に連れて行かれたブロウチェクさんは、そこでもヴィカールカ亭の常連たちにそっくりの芸術家たちに会う。月世界の上品すぎるしきたりや草の香りを嗅ぐだけの食事に嫌気がさしたブロウチェクさんはペガサスに乗って下界に逃げ帰る。
――夜明けも間近な頃、居酒屋の前で眠りこけるブロウチェクさんを店の常連たちが担いでいく。
『ブロウチェク氏の15世紀への旅』
――今宵もまた、ヴィカールカ亭に出かけたブロウチェクさん。千鳥足でつまずいたビヤ樽の中から続く地下の宝物殿でこのオペラの原作者チェフの亡霊に会う。
――場面は変わってフス教徒による宗教改革運動真っ只中の15世紀のプラハ旧市街広場。現代チェコ語で話すブロウチェクさんはスパイ容疑で捕まりそうになるが、居酒屋の常連とそっくりのドムシークの家に泊めてもらって助かる。フス教徒とともに戦うのを嫌がって逃げたブロウチェクさんは、口からでまかせのうそをついたため裁判にかけられて火あぶりの刑へ。赤々と燃える炎にブロウチェクさんが悪夢から覚めると...そこには居酒屋のあるじが灯りを手にして立っていた。
